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2023/07/06

ピロー包装に使用される包装フィルムの種類とトレンド

ピロー包装とは

ピロー包装とは、1枚のフィルムを筒状にしてヒートシールで溶着し、その中に包装物を詰めた後にフィルムの前後(または上下)の封をするという包装形態のことです。

出来上がった形が”枕 (pillow)”に似ていることからピロー包装と呼ばれています。

※1枚のフィルムを半折りにして3方を溶着したり、2枚のフィルムを重ねて4方を溶着し袋状にする形態もあります。 

ピロー包装は最も多く使用されている包装形態で、掃除道具・文具などの生活用品や工業用の部品、様々な食品・医薬品などを包装するのに用いられています。

ピロー包装を自動で行う装置をピロー包装機といい、この機械ではフィルムで包装すると同時に、対象物を自動で充填します。

また、ピロー包装機は、個体はもとより、粒体・紛体・液体等、あらゆる形状の包装が可能で、使用するフィルムを製品の大きさ・長さに合わせて設定できるためフィルムの使用量の節約にもなります。 

ピロー包装機によってはガス充填機能をそなえている機種もあります。
包装時に、窒素ガスや炭酸ガス(二酸化炭素)などの不活性ガスを充填し、袋の中の酸素量を減らすことで微生物を抑制したり酸化を防止する効果が得られ、鮮度保持期間や消費期限などの延長が可能となります。

ピロー包装の種類

ピロー包装機は横ピロー包装機と縦ピロー包装機に大別され、包装物の形状(個体・紛体・液体等)や壊れやすさなどによって使い分けられます。

横ピロー包装機

 横ピロー包装機

 横ピロー包装機とは、ワークをコンベアなどで横に搬送しながら、包装機でフィルムを筒状にしてその中にワークを包み込み、前後をヒートシールして切り離すという作業を自動で行う包装機です。

フィルムを筒状にしつつワークを包み込む
筒状になったフィルムの縦(流れ)方向をヒートシールする
ワークの前後をヒートシールする
前後を切り離す(カットする)

横ピロー包装機には、フィルムを上から被せるか、下から包み込むかによって、正ピロー包装機と逆ピロー包装機の2種があります。

正ピロー包装機はワークの上からフィルムで包み込む構造で、固体やトレーに乗っている製品の包装に適しており、逆ピロー包装機はワークの下から包み込む構造で、バラ物などの形が一定でない製品に適しています。

横ピロー包装機に適した製品は、
正ピロー包装機・・・形状が一定の個体、菓子パン、固形の菓子類、ソーセージ、インスタントラーメン(袋入り)、切り餅、トレーに乗っている製品、等
逆ピロー包装機・・・バラ状の菓子類、パスタ・蕎麦等の乾麺、個包装をまとめたマルチパック(外装)、等
 があります。 

縦ピロー包装機

縦ピロー包装機

縦ピロー包装機は、包装フィルムを上から下へ縦に送りつつ筒状にして、縦(背面)と底()面をヒートシールし、ワークを上から充填した後に上部をヒートシールして切り離すという作業を行う包装機です。

フィルムを筒状にして、縦方向(背面)をヒートシールする
()面をヒートシールする
ワークを上から充填する
上部をヒートシールして切り離す(カットする) 

縦ピロー包装機に適した製品は、
液体・粘体(醤油・液体スープ・みそ・ケチャップ・マヨネーズ等)
紛体・粒体(小麦粉・顆粒状の調味料・粉せっけん等)
バラ物(スナック菓子) ※衝撃に弱いものはNG
があります。

その他のピロー包装機の種類は下記になります。

三方シール包装機

フィルムを二つ折り(半折り)にして、折り目以外の三方をヒートシールする包装機です。

四方シール包装機

フィルムの四方向すべてをヒートシールする包装機です。
背中合わせにしたフィルムを、四方向同時にヒートシールする場合と、側面と底面を先にシールしてからワークを充填し、最後に上部をシールする場合の2種があります。

スティック包装機

フィルムをスティック状(細い筒状)にして底面をヒートシールし、ワークを充填してから上面をシールします。多列に配置して、同時に複数の包装を行うのが一般的です。個包装の砂糖やインスタントコーヒー、顆粒の薬品や健康食品等の包装に使用されています。

ピロー包装に使用される包装フィルムの種類

ピロー包装に使用されるフィルムは、その包装物に対して要求される品質を維持するために様々な効果をもったフィルムが使用されます。

部品や生活用品などに使用する場合には、複雑な品質維持要求があまりないため、柔軟性に富みシール強度の高いPE(ポリエチレン)や、透明度や耐久性に優れたPP(ポリプロピレン)を単層で使用するのがコスト的に適しています。 

食品業界などでもっとも多用されるフィルムは、ラミネートフィルム(複合フィルム)です。
ラミネートフィルムとは、様々な機能を持ったフィルムを2から5層程度貼り合わせて、複数の性能を掛け合わせた高機能フィルムです。
ラミネートに使用されるフィルムはそれぞれに特性があり、材質の特徴や効果によって組み合わせられます。

よく使用されるフィルムには下記のようなものがあります。 

OPP

PP(ポリプロピレン)を縦横2軸に延伸したフィルムで、防湿性に優れ野菜やお菓子など湿気に影響されやすい食品によく使用されます。
また透明性が非常に高く内容物の見栄えを損なわない為、食品以外でも汎用的に使われています。
ヒートシール性が劣るので、製袋する場合にはシーラント層をラミネートすることが多いです。
※OPP単体でも焼き切りシールなどでヒートシールが可能ですが、シール強度が弱く破袋しやすくなります。

CPP

PP(ポリプロピレン)の無延伸のフィルムで、OPPよりも透明度は落ちますが、伸びが良く引っ張りや引き裂きに対して高い強度を持っている素材です。
ヒートシール性を有しているため、ラミネートフィルムのシーラント層としても使用されます。
CPP単層でパンや生麺等の包装にも使われています。

ONy

繊維などでも使われているナイロンを2軸延伸したフィルムで、正式な素材名はポリアミド(PA)です。
耐衝撃性、耐熱(耐寒)性、突き刺し強度に優れ、冷凍食品などの包装にも使われています。

PET

ペットボトルでよく耳にするPET(ポリエチレンテフタレート)が素材で、2軸に延伸されたフィルムです。
耐熱性に優れ、レトルト食品の包装によく使われています。また保香性も高く香辛料にも適した素材です。

LLDPE

ヒートシール性・耐衝撃性に優れ、ラミネートフィルムのシーラント層に使われます。
また最も低コストなプラスチックフィルムの一つで、特別な機能を必要としない包装物の場合LLDPE単層でも使用されています。

AL

家庭で使われるアルミホイルと同じアルミ箔のことで、金属箔であるためにバリア性(湿度・酸素等)が非常に高い素材です。
光を通さないため遮光性があり、保香性にも優れています。 

また素材に二次加工を施してさらに性能を高めたものとして以下のようなフィルムもあります。

Kコートフィルム

OPPONyの表面に塩化ビニリデン(PVDC)をコートし防湿性・ガスバリア性を高めたフィルムです。

バリアナイロン

Kコートが塩素系素材であるため環境問題から敬遠され、重宝されているMXD(メチルキシリレンジアミン)系重合フィルムです。
酸素バリア性は高いが、防湿性はKコートフィルムより劣ります。

アルミ蒸着フィルム

PETOPPCPPなどの表面にアルミニウムの蒸気を付着させたフィルムで、アルミ箔ほどではありませんがバリア性があります。
金属の光沢が高級感を高めるため、ラミネートの中間層に用いて高付加価値感を持たせたい包装にも使用されます。

透明蒸着フィルム

アルミ箔を使用した包装フィルムでは製品の中身が見えないため、中身を見せたいが高いバリア性は必要という場合に使用されます。
PETONyの表面にシリカ(酸化珪素)やアルミナ(酸化アルミニウム)の蒸気を付着させたフィルムです。 

よく用いられるラミネートのフィルム構成には下記のようなパターンがあります。

スナック菓子など
⇒ OPP+CPP, OPP+アルミ蒸着PET+CPP, OPP+アルミ蒸着CPP

水物食品・冷凍食品・肉・魚など
⇒ ONy+LLDPE, KONy+LLDPE, PET+ONy+LLDPE

レトルト食品など
⇒ PET+AL+CPP, PET+ONy+AL+CPP, PET+ONy+CPP 

ピロー包装に使用される包装フィルムのトレンド

包装フィルムのトレンドとして、環境対応型フィルムの要望が高まっています。

バイオプラスチック1 (バイオマスプラスチック)

比較的短いサイクルで再生産が可能な植物(さとうきびやトウモロコシ等)の有機資源を主原料にしたプラスチックがバイオマスプラスチックで、包装用フィルムにはPE(ポリエチレン)PP(ポリプロピレン)の原料の一部にバイオ原料を混ぜるなどで使用され始めています。
従来のプラスチックの原料である化石資源を使用しないため、脱炭素(カーボンニュートラル)に貢献すると期待されています。 

バイオプラスチック2(生分解性プラスチック)

微生物などの働きによって、最終的には二酸化炭素と水に分解され自然に帰るプラスチックが生分解性プラスチックです。
海洋プラスチック問題への対策として期待されていますが、技術面・コスト面などで採用例がほとんどないのが実情です。 

脱プラスチック素材=紙

化石資源由来のプラスチックフィルムから、有機素材であるをベースとしたフィルムに変更するという事例が増えています。
紙素材にすることで、カーボンニュートラルと海洋プラスチック問題への両方の対策となります。
紙で包装袋を作成するには、従来は内側にPE(ポリエチレン)をラミネートやコーティングしてシーラント層を必要としていましたが、
プラスチックを用いずに紙だけでヒートシールができる素材も開発され、既にピロー包装に実用化されています。 

※内容はすべて2022年現在のものです。 

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